このブログはネタバレを含みますので、未読未鑑賞の方はお気をつけてください。また、考察が含まれます。個人の感想ですのでご容赦ください。

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スペイン語タイトル「Relatos salvajes」

英語タイトル「Wild Tales」

日本語タイトル「人生スイッチ」


私たちの日常の中には、切り替えてはいけないスイッチがある。それは身近にあってうっかり押したときには、時すでに遅し。何がきっかけで押してしまうのか、押したらどんな世界が待っているのかー覗いてみよう。(C)2014Kramer & Sigman Films / El Deseo

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2014年映画ブラックコメディ)。アルゼンチンスペイン共作。脚本と監督はアルゼンチン人ダミアン・ジフロンスペイン語版


この映画はスペインとアルゼンチンの共作で、ブラックコメディ。

どんなにいい人でもどこかで恨みを買っているかもしれない。どんなにいい人生を生きてきても、選択ミスでどん底に落ちる事がある。

人生どう転ぶかは誰にも分からないけど、そのスイッチを押さなければ良かったのに・・・。そんなどこにでもありそうな人間の愚かさを描いた作品だと思います。

この作品は1つの映画に6話編成されていて、短編映画をいくつも見ているような感じです。

6つの話にはそれぞれタイトルが付けられています。


  1. おかえし
  2. おもてなし
  3. パンク
  4. ヒーローになるために
  5. 愚息
  6. Happy Wedding

1.おかえし ネタバレ

おかえし、と聞いて何を思い浮かべますか?

良いことをしたお礼

おかえしとは、良い行いをしたお返しと、悪い行いをしたお返しの2種類あると思います。

この話では後者の方で、1人の人間に対して、生きていく中で嫌な事を言ったり、嫌な事をしたりした人たちへ、最高のお返しをする、という話です。1人の人間が、例えば20年生きたとしたら、知り合う人も20年分になります。その20年の中で、自分に嫌な事をしてきた人間すべてにお返しをするみたいな感じです。

その1人の人間に出会わなければ人生が上手くいっていたのかもしれない。

執着心の強いたった1人の人間に出会ってしまったことで、長い間恨まれ、お返しをされるなんて恐怖ですよね。それも、大したことのない事も多々。ただその人間にとってはその出来事が屈辱的な事だっただけ。

でも誰がそんな人間なのかは分からないものです。当たりくじを引くか、外れくじを引くか。それはそれぞれの運次第。自分自身がどこかで恨まれているかもしれないと思うと、ちょっと怖いですよね。

そんなお話です。それぞれのお話は、誰もが味わったことのある嫌な感情だったりもします。だからこそ深いなぁと感じました。

2.おもてなし ネタバレ

おもてなしと聞くと、良い事のように聞こえますね。

1話のおかえしと似ていて、こちらもブラックコメディなので良い事ではありません。

この話の主人公は若い女性。その女性はレストランで働いています。ある夜、嫌な男性客が現れます。人を馬鹿にしたような態度をしてくる男性客。その女性もからかわれてしまいます。

バックヤードに行くと、主人公の女性は怒りをあらわにします。あの男性客は、実は自分の父親を死に追いやった悪党だと言います。絶対に文句を言ってやる!この日を待っていた!!と、従業員の女性に愚痴を言います。

その後も男性客に罵られます。主人公の心は大荒れです。

同僚の女性が、あの男が憎いなら殺したらいいよ!と主人公を誘います。主人公は、刑務所には行きたくないと断ります。

そののち、その従業員女性は元受刑者だと分かります。大したことない罪で入っていたとのこと。

その後も主人公は女性従業員に愚痴を続けます。そんな中、元受刑者は男性客の料理に毒を混ぜて提供したことが分かります。その後、男性客の席に子供が合流します。その子供が料理を食べてしまったら大変だと思い、主人公は料理を回収しようと慌てます。当然、男性客と揉めてしまい、男性客に暴力を振るわれます。

その時、女性従業員が助けに入ります。

そうです。男性客を殺してしまうのです。

元受刑者の従業員は、刑務所に戻りたくて主人公をそそのかしていたようです。主人公はいいように使われてしまっただけでしたね。作中、刑務所は快適だよーと言っていたのはこの事でしたね。

3.パンク ネタバレ

ある男が山道を運転していると、前にとろとろと走っているボロでのろまな車が現れます。

そのボロ車の男が主人公を煽ってきたので、主人公の男は前にいるのろまな車に暴言を吐き、煽り、その車を抜いて通り過ぎます。

そののち、主人公の車のタイヤがパンクしてしまいます。そんな男の前を別の男の車が通りすぎます。そうです。あのボロ車です。

この話は、短気な男と短気な男のぶつかり合いの話です。喧嘩が引くに引けなくなって、後悔するところまでいってしまって、あの時やめておけば良かった・・・・と後悔する話です。現実でもあるあるな話ですね。

あの時あんな事を言わなければこんなことにはならなかったのに。。

あの時自分が大人になっていたら、こんな結果にはならなかったのに。。

ちょっと下品な描写もあるので、気を付けながら見ていただけたらと思います。直前で分かると思うので。

4.ヒーローになるために ネタバレ

主人公の男の車が駐車違反で罰金を取られるところから始まります。

その日は娘の誕生日。誕生日会用のケーキを買っている最中に、車がレッカーされてしまいます。

その場所は駐車禁止区域ではないと主張する主人公は、罰金は払わない!上のやつを呼んでこい!と怒鳴ります。

そうこうしてるうちに、主人公が帰ったころには誕生日会は終わってしまいました。奥さんも娘も悲しそうにしています。でも主人公は、自分は悪くないと主張。口論になります。

主人公はレッカー会社に行き、従業員に不満をぶつけます。まわりにいる罰金を払いにきた人たちは主人公の味方をします。不正に儲けているんだ!!と周囲は煽ります。

そしてとうとう主人公は消火器を従業員に投げつけて捕まります。周りは従業員と戦う主人公に賞賛の嵐。

主人公は新聞に載ってしまったことで、会社を解雇されました。そして離婚することに。

自分の主張を通そうとして会社と家族まで失ってしました。黄色のラインが引いてあるところは駐車禁止区域らしいのですが、最初のシーンを見てみると、薄っすらと黄色のラインが確かにあります。ただそれは見づらく、剥げかけているラインだから見逃してしまうこともあります。どちらも悪いしどちらも悪くないのが正解ですが、不公平な世界。弱い者が負けてしまいます。ここで言う弱い者とは、不正に儲けようとしているレッカー会社にレッカーされた人たちの事。

今では黄色のラインは塗り替えられ、駐車禁止の看板も立ててあります。

全てを失った主人公が、最後にレッカー会社に破壊のプレゼントをします。主人公は建物を爆破させる仕事でしたよね。

計算をして爆破したので死傷者は出ず。レッカー会社に不満があった世の中の人達からはヒーローとして称えられ、捕まった主人公はヒーローになりました。そして家族も戻ってきました。レッカー会社には避難殺到。

みんなのヒーローになるために、刑務所に行った男の話でした。

失ったものは大きいけれど、得たものはもっと大きかった主人公。主人公は最後もまだ刑務所の中。

どちらの人生が幸せなのかはわかりませんが、ヒーローにはなれましたね。

5.愚息 ネタバレ

冒頭、ナンバープレートが歪んでいる車が登場します。この家の主人の息子がひき逃げをしてしまったようです。飲酒運転です。亡くなったのは妊婦でした。

この家はお金持ちの家で、財産を失いたくないので、庭師に取引をします。庭師のおじいさんに、ひき逃げの罪をかぶってもらいたいと持ち掛けました。お金を沢山あげるから、罪をかぶってくれないかと。

それから隠蔽工作が始まります。

優秀な警察官はそれをすぐに見抜きます。

主人公の弁護士はお金で解決しようと言い出します。私に報酬をくださいと。この話をまとめてあげるので、私の弁護料を沢山くださいと。被害者とも慰謝料で和解することにしてあげたんだから当然の報酬だと主張し、主人公は受け入れました。

ところが、それを聞いていた庭師が、罪をかぶって刑務所に入るのに弁護士と同じ金額しかくれないのか!と詰め寄ります。お金以外にマンションもくれないと、自分は本当の事を喋りますよと脅してきました。

仕方がないので、庭師にはお金とマンションをあげることにしました。

そんな中、息子が自首したいと言い出します。ですが、弁護士と検察官と庭師は大金がかかっているので、自首はやめなさいと促します。

お金持ちの主人公に、皆がお金を集り始めます。不信感でいっぱいになった主人公は、息子に自首を進めます。隠蔽もなかったことにして自首しろ!と言います。ですが周りに説得され、弁護料や庭師に払う金額を値下げして、計画通りに庭師が犯人役をすることに決まりました。

警察が来て庭師が連れていかれる時、男がやってきて庭師の頭をビンで殴ります。そうです。亡くなった妊婦の夫です。それでEND。

庭師が亡くなったかどうかは分かりませんが、あらゆる人がお金に目がくらみ、真実を公表しなかったことで、無実の人間が被害にあってしまいました。色んなとらえ方があるとは思いますが、真実を言おうとした主人公や息子はまともだったなと。ひき逃げは良くないけれど、罪を償おうとしたわけですから。そこに、お金目当てで隠蔽を進めてくる検察官や弁護士、庭師に奥さんは、庭師が被害にあった後、庭師の子供や世間からバッシングが来ると思うので、嘘は嘘を呼ぶみたいな感じかなーと。そしていつかは息子の罪がバレるんじゃないかなと思いました。

お金に目がくらむと良いことはないし、脅しても良いことはない。嘘をついても良いことはないし、正直に言っても殺されていたかもしれない。

早く正直に話していたら違ったかもしれない未来が、少し逃げてしまったせいで全て最悪の結果を呼んでしまった。悪いことをしたらすぐに謝った方がいいよ!という教訓を描いたのかもしれませんね。

6.Happy Wedding ネタバレ

披露宴当日。主人公の女性は幸せな結婚生活を迎えるはずだった。

会場にいた謎の女性と話す新郎。あの女性は誰なの?と詰め寄る新婦。

まぁ、happyなわけがないですよね。

その女性は新郎の浮気相手だったのです。結婚式に浮気相手を呼んだ新郎に怒った新婦は、披露宴の最中に泣き崩れます。

怒りに狂った新婦は、会場にいたコックとキスをします。そして探しに来た新郎に怒鳴ります。今までしてきたことをFacebookに書いて晒してやる!と。

そして新婦は披露宴会場に行き、友人たちと踊り狂います。そして何かを決めたような顔をした主人公は、浮気相手の女性の所へ向かいます。一緒に踊りましょう!と誘う新婦は浮気相手の手を握り、くるくると踊り出します。そして浮気相手を鏡にぶつけます。

傷だらけになった浮気相手。披露宴は中止になり、救急車や警察官がかけつけます。

新婦は恨みを晴らせてスッキリした模様。それがhappyweddingみたいな感じかな。

ちょっと意味不明だけど、夫婦の絆は深まったようです。この話はちょっと分からないので、見ていただけたらと思います。

血縁関係になるという事で、血だらけの結婚式って感じかな?ブラックジョークみたいな感じ。


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